研究概要 |
平成16年度の研究は、COPD患者が何をどのようにストレス認知しているのかを明らかにするとともに、どのような対処法を用いているのか、その構造を明らかにし、ストレス認知および対処の構造モデルを構築することを目的として実施した。 在宅で生活するCOPD患者に調査の依頼を行い130名から同意を得た。分析には、他の疾患に罹患していない,未回答項目のない者のデータを用いた(ストレス認知112名,対処法107名)。統計解析には、理論的に措定したモデルの適切さを標本に対する適合度から評価できる構造方程式モデリングを用いた。 ストレス認知については、Lazarusの認知に関連したネガティブなemotionを勘案しつつ、「息切れに対するネガティブな認知」と「活動制限に対するネガティブな認知」を下位因子とする二次因子構造モデルを構築した。モデルの適合度はCFI=.983,RMSEA=.075であった。この2因子からCOPD患者が息切れに対してはどのように対処すればよいかわからない,安寧を脅かす脅威として評価していること、活動制限に対しては自分の望む状況が活動制限によって達成できない,活動制限をコントロールできないと評価していることが推定できる。対処法については、問題に焦点をあてた対処として状況を統制しようとする「情報の獲得」「息苦しさ・活動制限への積極的対応」と、自己のおかれた状況を再評価することによって情動を調整しようとする「病気の再解釈」「自己コントロール」を下位因子とする二次因子構造モデルを構築した。モデルの適合度はCFI=.991,RMSEA=.018であった。この4因子からCOPD患者が息切れや活動制限など病気によって引き起こされるストレスフルな状況に対してどのような対処法を用いているのかを推定することができる。 今後は縦断的な調査とともに、変数間の因果関係を検討する予定である。
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