研究課題/領域番号 |
16592162
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
登喜 和江 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (00326315)
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研究分担者 |
高田 早苗 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (50226784)
森下 晶代 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (40364054)
重松 豊美 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (50315321)
北村 有子 静岡県立静岡がんセンター研究所, 患者・家族支援研究部, 技師(研究員) (10364035)
山居 輝美 大阪府立大学, 看護学部, 助手 (50326287)
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キーワード | 脳卒中後遺症 / 高次脳機能障害 / ニード / 家族 |
研究概要 |
高次脳機能障害者とその家族の生活の様相と援助へのニードを明らかにすることを目的に、質的研究で得られた結果を基に質問紙を作成し、近畿地区の脳卒中連合会に所属する患者会の10団体と2つの医療機関の協力を得て実施した。 調査用紙の回収数は362(56.5%)、有効回答数349(96.4%)で、有効回答者に占める高次脳機能障害を有している人は、297名(85.1%)であった。 高次脳機能障害の出現が生活に及ぶす影響として、本人の仕事の変化では、失業した人が52.9%を占め、休職・配置転換・転職を含めると67.1%が仕事に何らかの変化がみられ、高次脳機能障害によって以前の仕事を継続することは、かなりの割合で困難となることが明らかになった。また、家族も19.5%が休職・配置転換・転職・失業などを体験し、7.1%は新たに仕事を開始していた。配偶者・パートナーとの関係の変化では、発症後に2.4%が離婚しており、別居を含めると3.4%に達していた。 患者とその家族は、医療・福祉等に対して、「専門の訓練を受けさせたい、相談窓口・医療機関がほしい(67.0%〜73,4%)」「高次脳機能障害について医療・福祉情報がほしい(67.3%、71.0%)」、「福祉制度の利用枠の拡充(77.8%)」「継続リハビリ(79.4%)」を要望していた。就職支援についての要望は、38.0%前後であったが、60歳未満の割合が18.5%であり、発病時に主婦などの職についていない者が半数近く含まれていることを考慮すると決して少ない数値とはいえない。介護者への支援では、「介護者休養のためのショートステイやロングステイがほしい(45.5%、53.8%)」「介護者の語らいの場がほしい(56.3%)」「介護者の悩みをわかってほしい(65.0%)」などを要望していた。以上のことから高次脳機能障害者とその家族の援助へのニードとして(1)高次脳機能障害を専門とする医療機関やリハビリのための施設の拡充、(2)専門的な情報に容易にアクセスできる環境の整備、(3)経済的負担に対する公的補助の検討や職業訓練のための施設の充実、(4)介護者を支えるためのシステムの整備を早急に実現することが求められた。
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