【研究目的】慢性呼吸器疾患患者の呼吸器感染症状についてのアセスメントツールを作成するにあたり、米国、日本においてどのような呼吸器感染予防教育がなされているかの現状を把握するとともに、患者が呼吸器感染症状に対して適切に対応できるようなアクションプランを作成した。 【研究方法】米国、日本において呼吸ケアが積極的に行われている呼吸リハビリテーションセンター、呼吸器専門病院における呼吸器感染予防教育のインタビューを実施した。また、文献検討、呼吸器感染予防指導の実際よりアクションプランを作成し、呼吸器の専門家より意見を聞き、妥当性の検討を行った。 【結果】米国においては手洗い・うがいなどの感染予防行動の習慣がない国であり、呼吸器感染についての情報を患者は教育を受けるまでほとんど持っていない状況があった。しかし、登録呼吸療法士が中心となる呼吸リハビリテーションプログラムにおいて、患者に感染の知識について確認した上で、何が正常であるかについて知ってもらうために咳・痰の正常についての知識や、熱が出ない感染もあること、手洗いの重要性についての教育を行うことで救急外来受診率が減少するという効果が明らかにされていた。日本においては、医師が中心になって、呼吸器感染におけるサインや予防内服の仕方、体力、栄養について指導が行われていたり、患者が必要時すぐに受診できるように病診連携のシステムが作られていた。しかし、呼吸器感染による早期の症状は捉えにくいため、病診連携を促進していくためにも、呼吸器感染症状についてのアセスメントツールが必要であると示唆された。アクションプランに関しては、もう少し根拠となるデータが必要であることが課題となった。 【次年度の課題】呼吸器感染予防に必要な知識やアクションプランを盛り込んだ療養日誌を用いて感染予防・急性増悪予防教育を行う。また、患者に療養日誌を記入してもらい、身体の変化の見方を伝えていきながら患者のセルフマネジメントの変化を捉え、アセスメントツールに反映させる。
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