【研究目的】 慢性呼吸器疾患患者の呼吸器感染症状のアセスメントツールを開発するにあたり、安定期を維持出来ている慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のセルフマネジメントの実態を明らかにした。 【研究方法】 1秒量が2.4L未満で、1年以上呼吸器感染による急性増悪での入院経験のないCOPD患者6名(男性6名、年齢56歳〜76歳)に半構成的面接法によるインタビューを行った。 【結果】 患者は医師からくれぐれも風邪をひかないようにと言われていた。そして、(1)予防接種を受ける、(2)風邪かなと思ったら市販あるいは処方された風邪薬を内服する、(3)うがい、手洗いを行う、(4)マスクをつけて外出する、(5)家族が風邪をひかないように気をつける、(6)寒い時には外出しない、(7)体温や酸素飽和度を測定して自分のからだの状態をみるということを実行していた。これらの風邪の予防法、あるいは悪化予防法の中で、風邪薬を早めに飲むということは患者にとって特に重要で、風邪かなと思う時点で早めに飲み、風邪をひいてしまってからでは点滴でないと治らないなど自分では対処できない状態になっていくと認識していた。しかし、ある患者は元薬剤師ということもあり、薬や痰の性状についての知識を持ち、気管支の痛みや喉で痰が切れなくなったら普通の風邪薬では治らないことや、痰の色が変わってきたら具合が悪い状態と自分の症状から判断して対処をしていたが、他の患者では、薬のことは良くわからないので医師の指示の通りに飲むしかない、副作用が恐いのでなるべく飲まないと思っていたりした。また、痰の色が黄色になる二とが状態悪化を意味しているとは知らなかったり、痰の色は見ていなかったりという状況もあった。 呼吸器感染による急性増悪予防において、知識を持つことは自分の状態をアセスメントするはばが広がり、適切な対処につながると考え、「かぜによる急性増悪の予防」というパンフレットを作成した。
|