【研究目的】 慢性呼吸器疾患患者が呼吸器感染症状をアセスメントするための項目を決定するとともに、評価の方法を検討する。 【研究方法】 安静時の酸素飽和度、体温、脈拍、痰の状態、咳の状態、鼻汁、咽頭痛、くしゃみ、気力の低下、気分の低下、食欲の低下、からだの感覚の変化を記録できる「からだの状態記入表」を作成し、9名の慢性閉塞性肺疾患患者に約1ヶ月間記録をしてもらい1ヶ月間の状態の変化をみた。また、記録していくことで分かってきた自分の身体の状態や、痰の状態、咳の状態、気力の低下、気分の低下、食欲の低下は11段階で評価をしてもらったため、評価の仕方についてインタビューを行った。 【結果】 A氏は記録中に黄色痰がみられたため、臨時で外来を受診し気管支炎と診断された。A氏のこの判断には、熱が出ない肺炎もあるという認識や、鼻水やくしゃみは気候や花粉症に影響されるという認識が関係しており、判断に影響している認識を確認していくことが重要と考えられた。また、A氏の経過をみると、黄色痰が出る前に鼻汁や37℃の微熱が見られたり、酸素飽和度の低下がみられたが、気分、気力、食欲の低下もみられた。他の患者においても、呼吸器感染症状とともに、気分、気力、食欲が影響されており、これらの項目も重要と考えられた。 B氏は、身体の状態を記録していくことについて、今まで痰の状態を全然気にもとめていなかったが、調子によって痰の状態が違うということに気付いたり、体温が1度でも違ったら気を付けた方が良いと意識できるので大切なことと思っていた。しかし、A氏はある程度の判断がつくので評価することは良いことだと思うが、毎日書いていくことが負担となっていた。痰の状態、気力の低下などの評価の仕方については、11段階だと幅が広すぎてイメージがつきにくく、判断するのが難しいという意見が多かったので、検討が必要であると考えられた。
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