研究課題/領域番号 |
16592175
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
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研究分担者 |
若狭 紅子 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (10279705)
濱田 由紀 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (00307654)
小山 達也 東京女子医科大学, 看護学部, 助手 (90408568)
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キーワード | 精神障害 / 倫理 / 看護 / 人権 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、精神科看護師が体験する倫理的ジレンマ、価値の対立を明らかにすることを目的に、面接調査を継続した。本研究は、東京女子医科大学倫理委員会での承認を得た。面接調査の対象となった看護師は28名であり、全員が正看護師であった。平均年齢は32.89歳、精神科臨床経験年数は、平均6.39年であった。倫理的ジレンマの内容は、患者の権利、治療、退院・長期入院、移送・救急入院、患者の状態、病棟規則、人、ケアの8カテゴリーに分類できた。また倫理的ジレンマの状況においては、患者の権利、患者の尊厳、患者の安寧、専門的価値、道徳的価値がそれぞれ対立していた。価値の要素は、患者の権利・患者の尊厳・患者の安寧として<患者の権利等に関わる要素>、治療的価値・保護主義・専門的価値として<治療的価値・看護の専門的価値に関わる要素>、病棟文化・病棟規則・経済原則・業務上の価値・医師の権威・職場の人間関係として<病院という場や機能に関わる要素>、患者に自己決定能力がない・治療法がない・ケアには限界がある・人手不足・社会資源の不足・制度の不備として<現実の限界に関わる要素>、個人的価値・道徳的価値として<個人の価値にかかわる要素>、文化的価値として<文化的価値に関わる要素>、看護師の人間としての尊厳・家族の希望・家族の権利として<患者以外の人間の尊厳や権利に関わる要素>に分けられた。 研究の第2段階として、質的研究をもとに、精神看護におけるジレンマの内容と倫理構造についての質問紙を作成し、調査を行っている。質問紙は、対象者背景、研究者らが作成した倫理尺度および倫理的問題に対する対処尺度、既存の道徳感受性尺度、アサーティブネス尺度、ストレスバーンアウト尺度から構成されている。病院要覧に掲載されている精神病院から層化無作為抽出により対象施設を抽出し、1000部の質問紙を配布し、現在回収・分析を行っている。
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