研究課題/領域番号 |
16592177
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
原 三紀子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (90291864)
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研究分担者 |
小長谷 百絵 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (10269293)
海老澤 睦 東京女子医科大学, 看護学部, 助手 (60349777)
寺町 優子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (30188685)
水野 敏子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10153305)
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キーワード | 神経難病患者 / 心のケア / 神経内科看護師 / climate / 与える看護 / 共に考える看護 / ストレス |
研究概要 |
神経難病は確定診断がつきにくく、治療の手立てもないため患者や家族の不安は尽きない。そのため看護師は患者や家族が抱える諸問題を的確に把握し継続したサポートをする必要がある。しかし、筆者が行なった先行調査では看護師に自分の病気に対する思いを聞いてもらった経験があると回答していた患者は少なく、看護師の存在が自分にとって有用であると感じている人は少なかった。ところが、患者の肯定的な病気の受け止め方と看護師の支援には正の相関関係が示され、看護師の支援は患者が前向きに病気を受け止めていていく上で関係があり、看護師による支援の重要性が示唆された。そのため、今回は、神経難病患者の心のケアについて、看護師自身がどのよう思い、取り組んでいるかの実態を明らかにし神経患者のQOLを高めるためのケアのあり方を考えていくことを目的に調査を開始した。今年度は、プレテストを進めながら半構成的面接による質問項目を検討し、神経内科患者の看護経験をもつ23名の看護師から神経難病患者の心のケアに対する看護師の思いや実際の取り組み、看護におけるエピソードなどについて聞き取り調査を行なった。インタビューの結果は逐語録に起こし、現在、質的分析を進めている段階である。対象者の平均年齢は29.4歳(SD6.91)、神経内科での平均臨床経験年数は8.1年(SD8.07)であった。神経難病患者の心のケアについての看護師の捉え方は臨床経験年数にも影響されていると考えられる点が多く、臨床経験年数が比較的浅い看護師では、心のケアとは患者が前向きに病気を受容できるように看護師自らが働きかけることを意味し、ケアを行なうためには患者と共に過ごせる一定時間の確保が必要と感じていた。しかし、多忙な業務に追われる現状では心のケアまで行うゆとりがないといったストレスを抱いていた。一方、臨床経験年数が長くなるほど、心のケアは、患者と共に考え行なうものであり、日常のケアの中に包含するものであると捉え、患者が悩みを打ち明けたいという雰囲気(climate)を作るように心がけていた。しかし、経験年数の長さに拘わらず神経難病患者から病気に対する嘆きや怒りをぶつけられる経験をもつ看護師は多く、さまざまな精神的なストレスを抱いていたが、こうしたストレスを解消する手立ては殆ど語られていなかった。
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