本研究は、完全母子同室制を導入している産科施設において、産後1日目の母親に対して、足浴・マッサージ・アロマオイル・ハーブティなどを用いてリラクセーションを図りながら、母親と傾聴的にかかわる癒しケアが、母親の疲労回復や円滑な母乳育児を促進する効果があるか否かを、癒しケア介入を行う実験群と従来どおりのケアを提供する対照群との比較により検証することを目的としている。 平成17年度は、昨年度に引き続きデータ収集を行った。また、ケア効果について途中経過の把握を行うべく、得られている有効データ(実験群47名、対照群46名)から「母親の疲労(疲労度・鬱気分・睡眠時間)」について分析した。 その結果、両群の比較では「疲労度」、「鬱気分」ともに産褥1日目は実験群が対照群に比べて有意に高く、産褥4日目では両群に有意な差を認めなかった。群内比較では、実験群は「疲労度」、「鬱気分」ともに産褥1日目と4日目に差はなかったが、対照群は産褥1日目に比べ4日目の疲労度、鬱気分が有意に高かった。「睡眠時間」については、両群ともに差を認めなかった。 以上より、完全母子同室制を導入している産科施設に入院している産後早期の母親に対して、癒しケア介入を行ったことにより、入院中の母親の疲労や鬱気分を悪化させない予防効果があったと推察された(概要は第20回日本助産学会学術集会において発表した)。 次年度は、データをさらに蓄積し、「母親の疲労」とともに「母乳育児」への影響もあわせて分析し、研究成果として報告する予定である。
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