本研究は、産後1日目の母親に対して行う癒しケアの、母親の疲労の回復や母乳育児を促進する効果を明らかにすることを目的とした。 対象者は、正常な分娩経過をたどった産後1日目の母親153名を、癒しケアを行う介入群80名と従来通りのケアを行うコントロール群73名に便宜的に割りつけた。最終的に介入群77名とコントロール群59名、計136名を分析対象とした。産後1か月まで追跡できたのは、介入群56名とコントロール群57名、計113名であった。 癒しケアとは、産後1日目の母親に対して、就寝前にプライバシーが確保できる個室において傾聴的に関わりながら、好みのアロマオイルを数滴たらしたフットバスで15分間足浴の後、フットマッサージ機を用いて膝下から足先までの圧迫マッサージを15分間実施し、その間に好みのハーブティーを飲用してもらうという、一連のリラクゼーションケアである。 【母親の疲労】の指標としては、「疲労蓄積度自己診断チェックリスト」、「エジンバラ産後うつ病評価尺度」、「自覚的な睡眠時間」を産後1日目と4日目に測定した。【母乳育児】の指標としては、産後0日目、2日目、4日目の「授乳回数」、入院中の乳房トラブルの有無、退院時および産後1か月時の「栄養法」のデータを収集した。 分析は、上記指標に関して統計学的に、記述統計と介入群とコントロール群間の差の検定を行なった。 その結果、介入群はコントロール群よりも「疲労蓄積度自己診断チェックリスト」の点数、および「エジンバラ産後うつ病評価尺度」の点数が有意に低かった。また、介入群はコントロール群よりも入院中の乳房トラブルの発症が有意に少なかった。 以上より、産後早期の母親に癒しケアを行うことは、入院中の疲労蓄積を抑え、うつ気分を増強させないという点で、入院中の母親の疲労を予防すること明らかになり、また、入院中の乳房トラブルの発症を抑えるという点で、入院中の母乳育児を円滑に進める一助となることが明らかになった。 よって、産後早期の母親に対する癒しケアの、母親の疲労や母乳育児への効果が検証された。
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