研究概要 |
1.対象者:O大学の健康な男子学生10名(年齢22.5±4.0歳)とO市内のシルバーセンターに通う男性12名(年齢63.5±0.4歳)、計22名の対象者で、事前に研究目的、方法を書面および対面で説明し、同意書を得られた者。2.測定器機:レーザー・ドップラー皮膚血流計、皮膚温度計、経皮酸素分計使用等。3.測定方法:全対象者は、同時間、同場所で2日間にわたり、市販の炭酸入浴剤による足浴と、湯のみの足浴をランダムに実施した。ベッドで臥床安静30後、両足背部に皮膚血流、皮膚温度のプローベを装着し、座位で足浴開始前から足浴10分間と足浴後50分後まで約1時間測定した。4.分析方法:全対象者の2種類の足浴時の各測定値を比較する。その際、皮膚血流値は個人差があるために、変化率(%)で示した。また、連続変量の結果は、平均値±標準偏差で示し、学生と高齢者それぞれの2群間(入浴剤足浴群と湯群)の有意差検定に2元配置分散分析を行った。 5.結果・考察:足浴の違いによる下肢血流促進効果について 1)皮膚温度について:学生、高齢者ともに、足浴の違いによる主効果(学生群右下肢:p=0.332,左下肢:p=0.497、高齢者群右下肢:p=0.921、左下肢:p=0.431)は示されなかった。 2)皮膚血流について:学生の場合、足浴の違いによる主効果(学生群右下肢:P=0.007、左下肢:p=0.023)は、両足背部皮膚血流変化率ともに有意差は見られた。高齢者の場合、足浴の違いによる両足背部皮膚血流変化率の主効果は(高齢者右下肢:P=0.056、左下肢:P=0.026)左足背部血流のみ見られた。経皮酸素分圧データは、現在分析中である。 以上より、今回の皮膚温度や皮膚血流変化率の結果において入浴剤足浴は、高濃度炭酸泉浴と同様な効果が得られる可能性を示唆している。
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