【研究目的】糖尿病性腎症透析患者の下肢潰瘍予防のために、考案した炭酸入浴剤による高濃度炭酸泉足浴(以下、炭酸入浴剤足浴と略す)は、糖尿病性腎症透析患者が簡便に毎日継続的にセルフケアできる方法であり、この足浴による効果を検証する。 【研究方法】1.対象者:0市内の透析クリニックに通院する糖尿病性腎症透析患者9名。 2.方法:対象者に約1ヶ月間、考案した炭酸入浴剤足浴を家で実施してもらうことである。そのために、対象者に容器、水温計、炭酸入浴剤を提供し、その容器に38℃の湯6リットルと炭酸入浴剤1個を投入し、約10分間足浴を約1ヶ月間、毎日実施するように依頼した。炭酸入浴剤は溶解時の香料や色素のバイアスを除去するために、花王株式会社に依頼し、製造された無香料、無色の炭酸入浴剤を使用した。 3.評価方法:足の皮膚状況観察、足浴実施状況、主観的効果を1週間ごとに聞き取り行い行った。 4.倫理的配慮:倫理委員会で承認を得た。対象者には研究目的、方法について対面と書面で説明し、同意書を得たものに実施した。 【研究結果および考察】1.1ヶ月間継続による皮膚状況について:全対象者に皮膚障害は見られなかった。2.足浴実施状況について:8人は毎日実施、1人は数日できないこともあった。3.主観的効果:炭酸入浴剤足浴は、全対象者が約1ヶ月間継続実施できる簡便な方法であること、継続実施によって足の皮膚の乾燥、冷感、足底部の違和感の消失、足部の関節や筋肉の動きが良くなるという主観的効果が見られた。以上より、考案した炭酸入浴剤足浴を家で継続的にセルフケアできる方法であることや足の皮膚の乾燥、冷感の消失などの有効性が示唆された。
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