平成16年度の研究実績は、以下のとおりであった。 調査1 研究方法:文献研究 研究目的は、課題に関する先行研究の分析を行い、学校トイレ問題と児童の排泄に関する最近の動向を把握することであった。学校トイレ問題、児童の排便・排尿・排泄をキーワードとして学校保健および関連領域の専門誌を検索した。その結果、45編が収集された。分析の結果、以下の傾向が把握された。 1)過去5年間に文献数の増加がみとめられる。 2)問題意識には都道府県較差がみとめられる。 3)著者の分類から、多職種が関心をよせていることがわかる。著者はその専門性から問題分析を行い、介入方法の提示を行っている。 4)文献のテーマは主に、(1)学校トイレの施設や構造、(2)身体的・生理学的問題、(3)心理的問題、(4)社会的問題(少年軽犯罪との関連性など)、(5)健康教育的アプローチ、(6)その他、に分類された。 調査2 研究方法:質的研究 研究目的は、課題に関する学校保健現場の考えを収集し、学校トイレ問題とメンテナンスを中心とする改善計画の基礎情報を得ることであった。 学校トイレ問題に関する懇談会を開催した。参加者は旭川市内の小学校に勤務する養護教員7名と研究者3名であった。学校トイレ問題に関する文献(研究報告5編、総説論文1篇)を資料として配布し、参加者が日常的に問題意識をもっている事柄について、ブレーンストーミングを実施した。参加者の同意を得て、全会話を録音した。録音テープから逐語録を作成した。現在、Berelsonの内容分析法を用いて逐語録の分析中である。記録単位は一文脈とし、記録の類型化を繰り返してカテゴリー化をすすめていく。
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