研究概要 |
わが国で増大する一人暮らし高齢者の支援は、高齢社会対策の推進上、極めて重要である。本研究の目的は、一人暮らし高齢者に対する自立支援に向けたプログラム開発と評価を行うことである。研究対象は、国内の1農山村(人口3966名,高齢化率26.0%)における一人暮らし高齢者57名(全数)より有意抽出された16名(プライマリーインフォーマント)ならびに、日頃一人暮らし高齢者と関与の深い同地域の専門職10名(キーインフォーマント)の計26名である。研究方法は、StraussとCorbinらのグラウンデットセオリーアプローチであり、研究者が調査地域において個別訪問(プライマリーインフォーマント:自宅、キーインフォーマント:各職場)を行い、1対1インタビューを実施した。データ収集はグランドツアー型質問およびミニツアー型質問を用い、具体的には、前者では、当該地域の一人暮らし高齢者の暮らしぶり全般を尋ね、後者では一人暮らし高齢者が自立して生活していく上での多様な課題やニーズ、要望等を尋ねる形式で行った。データ分析は、対象の承諾を得て、インタビュー音声をすべて録音し、逐語録としたものをオリジナルデータ(1次データ)として行った。なお、1人当たりの平均インタビュー時間は60分であった。分析の結果、一人暮らし高齢者の生活は、健康状態、家族状況、生活水準のほか、一人暮らしとなった経緯等により差異があるものの、自立した生活の維持にむけては、将来における健康増進と社会参加のニーズがあることが明らかとなった。今後はこれらのニーズに基づき、地域の特徴も勘案したプログラム開発が必要である。
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