研究課題/領域番号 |
16592195
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩崎 弥生 千葉大学, 看護学部, 教授 (60232667)
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研究分担者 |
荻野 雅 千葉大学, 看護学部, 講師 (60257269)
野崎 章子 千葉大学, 看護学部, 助手 (90361419)
松岡 純子 千葉大学, 看護学部, 助手 (40375621)
水信 早紀子 千葉大学, 看護学部, 助手 (50375622)
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キーワード | 精神障害 / リカバリー / 回復 / 看護 / 質的研究 |
研究概要 |
本年度は、リカバリーを促す看護援助を開発し、看護援助の有効性を検討した。リカバリーを促す看護援助の開発においては、第一に、前年度の研究成果の妥当性について当事者からの意見聴取及び文献検討を通して検証し、精神障害者のリカバリーの構造を明らかにした。次に、リカバリーを促す看護援助プログラムを開発し、精神保健医療の専門家からプログラムの安全性及び病状への影響の観点から意見をもらいプログラムを修正した。その後、地域で生活する精神障害者を対象に援助プログラムを提供し、援助の過程を観察・記録した。最終的に、援助過程の記録を定性的に分析して援助プログラムの有用性を検討した。 対象者は、地域生活支援センターを利用している二十歳以上の精神障害者のうち、リカバリーの看護援助プログラムへの参加を希望し、且つ協力施設の責任者から参加を許可された者とした。協力施設からは研究の倫理的な側面について審査を受け、研究許可を得た。対象者の選定にあたっては、病状が安定しており研究への参加によって病状に悪影響を受けない対象候補者を協力施設から推薦してもらい、その中から研究参加希望者を募集した。 援助プログラムの内容及び援助方法は、対象者の病状や自我の安定を脅かすような対象者の内面に介入するアプローチではなく、対象者の日常生活や強みに焦点を当て、対象者の自我を補強するアプローチをとった。前年度の研究から、リカバリーについて小グループで相互教育的に語り合うことがリカバリーの促進に有効であることが示唆されたため、看護援助プログラムはセミナー形式の小グループアプローチを用いた。なお、援助の過程は、対象者の許可を得て録音した。 援助過程の中で浮上してきた対象者のリカバリーのテーマは病気とのつきあい方や自分の生き方であり、リカバリーが全人的な過程であることを示唆した。小グループでのディスカッションは、対象者が対処のヒントを得たり気持ちを安定させる上で役立つとともに、リカバリーに不可欠な「自分への気づき」の獲得を促した。以上から、リカバリーを促すには、本人の脆弱性を変えるのではなく、本人が現在自分の人生の中で取り組んでいることを土台に、自分の夢や希望の実現を支援する必要が示唆された。
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