研究概要 |
日米におけるアルツハイマー型認知症(痴呆性)高齢者の主介護者、それぞれ44名(平均年齢:64.1±12.2歳)、50名(平均年齢62.3±11.2歳)に対しソーシャル・サポートに関する半構造化面接を行い、更に抑うつ、孤独感、介護負担感、介護の返報について質問紙を用い調査した。最も役に立ったサポートとして、日本ではデイケアなどの公的なサービス機関を挙げた人が11名、次いで医師や介護スタッフなどの専門職者を挙げた人が9名、合わせて20名がformalなサポートを述べた。米国では公的なサービス機関を挙げた人が32名、専門職を挙げた人が9名、合わせて41名がformalなサポートを述べた。通常役に立つサポートとして述べられたサポートの数の平均値は、日米それぞれ4.1、2.8であり有意な差が見られた(t(52.4)=2.6,p=0.012)。抑うつ、孤独感、介護負担感、介護の返報の平均値±SDは、日本が13.6±10.0、33.0±9.8、33.0±17.5、35.0±10.0であり、米国は14.4±10.4、36.4±9.4、38.5±10.6、38.5±11.8であった。孤独感、介護負担感の平均値は日本の方が低い傾向があった(p<0.1)。日米間でサポートと抑うつ、孤独感、介護負担感、介護の返報の関係に差があるかサポートを平均値と分布により3以下(低群)と4以上(高群)に分け、共変量としてGDS(認知機能障害の程度)、健康状態、介護時間、介護の数を投入し、二元配置分散分析を行った。孤独感、介護負担感を従属変数とした場合に有意なモデルとなり(調整済みR^2=0.08,p=0.046,R^2=0.08,p=0.049)、孤独感を従属変数とした場合に国とサポートに有意な交互作用が見られ(F=4.65,p=0.034)、日米間におけるサポートと孤独感の関係が異なることが示唆された。
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