日米におけるアルツハイマー型認知症(痴呆性)高齢者の主介護者、日本と米国それぞれ50名(平均年齢:63.9±12.1歳)、50名(平均年齢62.3±11.2歳)に対しソーシャル・サポートに関する半構造化面接と、抑うつ、孤独感、介護負担感、介護の返報を含む質問紙調査を実施した。質的分析において、最も役に立ったサポートとしてデイケアなどの公的なサービス機関などのformalなサポート源を挙げた人が日本では22名、米国では47名と米国が多い傾向があり、サポートの内容は被介護者に対する直接的な援助が多くみられた。有益でないサポートについては、両国において期待するサポートの欠如、すなわち、介護機関/施設からの適切な援助、informalなサポート源である家族などが介護へ参加しないことなどが多く述べられた。量的分析において、通常役に立つサポートとして述べられたサポートの数の平均値は、日米それぞれ4.1±3.0、2.9土1.3であり有意な差が見られた(p=0.010)。適応指標である抑うつ、孤独感、介護負担感、介護の報酬の平均値±SDは、日本が13.6±9.8、33.0±9.3、33.6±17.3、34.7±10.1であり、米国は14.4±10.4、36.4±9.4、38.5±10.6、38.5±11.8であった。孤独感、介護負担感の平均値は日本の方が低い傾向があった(p<0.1)。適応指標に対するソーシャル・サポートの影響の日米間の差について、国とソーシャル・サポートの交互作用項を説明変数に含む重回帰分析を行ったが、有意な影響は見出されなかった。被介護者との関係により日米間で孤独感に差がある傾向がみられた。米国では被介護者との関係が嫁の場合と嫁以外の場合において孤独感の平均値に差がみられないが、日本においては被介護者との関係が嫁の場合に孤独感の平均値が高い傾向が示された。
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