研究概要 |
1.大阪府立看護大学と大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター(以下,センター)倫理委員会の承認を受けた後,センター呼吸器外来に通院中の在宅酸素療法(HOT)患者を対象に,2年間の縦断研究を開始した。 2.患者宅の寝室,居聞,台所,携帯用酸素カートなどに小型軽量(30g)の温度・湿度センサーを各1台設置して30分ごとに自動測定している。患者にはパルスオキシメータを貸与して,起床時から就寝時までの1日数回(負荷がかかる風呂・シャワーなどの清潔行為や外出から帰宅した直後を含む)酸素飽和度(SpO2)と脈拍数の測定を依頼し,さらに,歩数計の計測値,食欲,息苦しさの度合い,下痢の有無などの症状を毎日「HOT日誌」として記載してもらっている。温度・湿度センサーは80日ほどでデータの記録容量が上限に達するため,定期的に患者宅を訪問してセンサーに記録した温度・湿度情報の回収を行っている。訪問時にHOT日誌を回収するとともに,患者にインタビューすることによってADLの変化などにも注意を払っている。承諾を得られた患者は8月末5人,9月末14人,10月末21人,11月末25人,12月末26人,3月末29人と増えている。入院などの理由によりHOT日誌の記載が中断した事例がいくつか見られたが,研究からの離脱者はいない。 3.本研究では個人ごとの曝露気温を知ることができるため,地域気象観測システムAMeDASデータによる気温がセンサーの値とどの程度偏りがみられるか(例えば,最高気温・最低気温が影響を受けるのか,1時間ごとに24時間累積した気温との相関関係など)を解析することができる。そこで,数人の患者を対象に,患者が在住する市区町村の中心に隣接するAMeDASポイントの1時間ごとの気温とセンサーによる気温値とを比較対照できるデータ・ベースを作成した。
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