研究概要 |
1.2004年5月に大阪府立看護大学と大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター(以下,センター)倫理委員会の承認を受けた後,センター呼吸器外来に通院中の在宅酸素療法(HOT)患者を対象に開始した縦断研究の最終年度である。研究開始後,対象者数は順調に増加して2005年3月末では29名であったが(研究打ち切り例なし),2005年4月以降研究終了までに,死亡により4名,疾患増悪により3名,本人の申し出により2名の合計9名が研究から離脱した。 2.患者宅の寝室,居間,携帯用酸素カートなどに温度・湿度センサーを設置して30分ごとに自動測定し,定期的に訪問して,センサーに記録した温度・湿度情報の回収を行った。訪問時には,患者に記載してもらったHOT日誌(酸素飽和度,脈拍数,身体の調子,食欲の有無,息苦しさの度合いなどの調査)を回収した。2005年6月に,高気温により急性増悪をきたして救急搬送されたと考えられる患者の場合,酸素飽和度の低下と脈拍数の増加が見られた。 3.本研究では個人ごとの曝露気温を知ることができるため,地域気象観測システムAMeDASデータによる気温がセンサーの値とどの程度偏りがみられるか(例えば,最高気温・最低気温が影響を受けるのか,1時間ごとに24時間累積した気温との相関関係など)を解析することができる。上記の救急搬送された患者の場合,6月の寝室温度の変動は外気温と比較してかなり小さく,日中の一時期を除いて外気温より高い値を示していたが,室内に設置した酸素濃縮器が熱源として作用したと考えられた。特に,救急搬送されるまでの5日間の室温平均は30.4℃まで上昇していた。
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