研究概要 |
本研究は、都市部A市の高齢者実態調査とこれらの調査をエビデンスとして用いたヘルスプロモーション活動の推進研究の2つからなる。 高齢者実態調査は、A市65歳以上の在宅高齢者全数を対象に行った。2001年にベースライン調査を実施し、2004年9月再調査を実施した。有効回答数は、2001年13,067人、2004年21,010人であり、追跡できた高齢者は9,700人であった。介護認定において追跡できた高齢者は13,066人であった。分析方法は、調査項目について因子分析を行い、共分散構造分析を用いて妥当性の高い仮説モデルの構築を検討した。また、生命予後との因果関係は生存曲線を用いて比較した。さらに、介護度の変化は、介護保険法に基づく2001年9月の介護認定度を用い、3年後の介護度経年変化は2004年9月時点の認定度を比較した。その結果、(1)共分散構造分析を用いて、主観的健康感が歩行・外出に関連し、結果的に社会ネットワークを強化しているという仮観モデルを高い適合度で描くことができた。(2)生存分析で統計的に有意であったのは、疾病、痛み、入院、介護認定度、家族の同居、居住環境、日常生活機能(IADL)、外出頻度、主観的健康感、趣味や地域活動参加状況が比較的大きな要因であることが明らかになった。(3)男女の精査が大きく、殆どの項目で男性のリスクが大きく、男性短命がクローズアップされた。要介護度の3年間の変化は、介護度が維持された者は23.2%低下した者が22.2%であった。 ヘルスプロモーション活動では、市の保健計画を2004年度から住民参加で作成する方法を検討し、2005年度66回延べ553人のワークショップへの市民参加により2006年3月に作成した。2006年度からは、市民が行政のパートナーとなって計画の推進と評価、実施計画の再検討を行い、健康づくりを行うための行政と住民の能力開発を行った。
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