研究課題/領域番号 |
16600001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木南 敦 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30144314)
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研究分担者 |
本多 正樹 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80378504)
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キーワード | 非営利組織 / 公益信託 / 公益法人 / 信託法 / 行動基準 / NPO / アメリカ法 / 比較法 |
研究概要 |
本年度は、非営利組織等の理事と役員の行動基準として、いわゆる善管注意義務と、忠実義務を取り上げ、その内容とその義務の実現について、日本の状況とアメリカの状況について比較しながら検討を進めた。我が国で、民法にかわって非営利事業を法人として組織する基礎を提供する法律として国会提出中の「一般社団法人及び一般財産法人に関する法律」に、理事やそれに相当する者の義務としてこのような義務またはそれに相当する義務が盛り込まれている。また、非営利事業を実行する方法として考えられる信託についても、国会提出中の「信託法」と「公益信託ニ関スル法律」に、受託者の義務の内容としてこれらの義務が盛り込まれている。しかし、このような義務を定める規定は理事や受託者の行動基準を具体的に示すものではなく、個別状況においてそれぞれの義務から具体的な行動を律する基準が明らかになるように導かれ示されなくてはならない。また、こうして導かれる基準が遵守されるようにすることが求められる。このときに注目にされるのが、非営利組織に対する課税上の優遇措置である。課税上の優遇は非営利活動に不可欠なことではないが、非営利活動に対する様々な寄与の協力な誘因であることは、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案が公益法人制度の抜本改革の主要な構成要素であることにも示されている。そこで、非営利活動に従事する者にふさわしい行動基準を示し、その遵守が課税上の優遇措置を受ける前提条件とすることが考えられる。これがアメリカ合衆国において連邦所得税課税上用いられている方策である。優遇措置をうける基準を具体的に示し、それを遵守していることを優遇を受ける者によって個別に示させることができる。こうしてこの基準が遵守されているのが確認する材料を手に入れることができ、それを手がかりにして法人法や信託法が求める義務を個別事例において実現する助けを得ることができるということが分かる。
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