研究概要 |
平成16年度の研究は,自閉症のサービス提供を担っている各種NPOの役割の構造を明らかにすることを目的に行われた。行動療法士(Behavior Therapist)による「応用行動分析(ABA)」,言語療法士(Speech Therapist)による「言語療法」,作業療法士(Occupational Therapist)による「感覚統合療法(SI)」,音楽療法士(Music Therapist)による「音楽療法(MT)」等,多様なサービスが教育課程(IEP)に組み込まれ,学校との協同体制が採られていた。 調査研究を行った米国カリフォルニア州では,各学校区は,州により認証されたNPOと契約を交わしていたが,そのfundingは個々のサービスの集積としての定期的な契約ではなく,年度全部の一括契約であり,各NPOはその予算の範囲内で,サービスを提供していた。学校区によっては,NPOではなく,POと契約しているところもあり,これはサービス提供の価格がより安価であるという理由によっていた。 NPOよりも,実際は,POを利用している学校区の方が数は多かったが,利益を追求するPOではなく,NPOとして設置しているところは,サービス提供だけではなく,研究推進・専門家養成という別の目的も併せ有していた。また,NPOの方が研究・事業に関する寄付を受けやすいということであった。学校区や学校には,セラピスト選択の権利はなく,NPO側のマネージメントによっていた。 また,NPOに勤める専門家達は,必ずしも資格保有者ではなかった。特に,行動療法士(Behavior Therapist)達は,NPOの代表がその資格をもっていればよく,スーパーバイズを受けながら,サービス提供に従事していた。評判のよいセラピストの勤続年数は短く,独立して州の認証を受け,NPOもしくはPOを起業したものが多く存在していた。
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