昨年度に引き続き、自治体(件レベル)のNPO活動促進を担当する課を対象に、NPOと行政との協働に位置づけられている委託事業の実態と評価に関する聞き取り調査と資料収集を行った(15県実施)。また、事業を受託しているNPOを対象に、受託したことによる組織経営に関するメリット、デメリット、協働の問題点について聞き取り調査を行った(6団体実施)。その結果、以下のような知見が得られた。各自治体とも、NPOと行政の協働に関する施策を積極的に進めており、職員のNPO理解を促進する意味も含めて、協働の概念の整理、協働の意義、協働の基本原則、協働の形態、協働の進め方等についてのマニュアルを作成、あるいは作成中であるところが増えている。また、先駆的に協働事業を行ってきた自治体は、協働の過程で見出された課題を解決するために、協働、とくに委託事業についての評価を継続的に実施しているところがでてきている。その際、たとえば愛知県のように『あいち協働ルールブック2004』に基づいてNPOと行政の協議・検討を行っているように、自治体とNPO双方が評価しあいながら、課題解決をめざすところも出始めている。 本年度の調査から以下のような点が見出された。第1に、事業の継承・発展のためには、NPOのノウハウに対する適切な配慮と活用が必要なこと、第2に、より質の高い協働を実現するためには、施策・政策レベルでの目的・目標の共有をし、中長期的な課題、問題意識を開かれた議論の場を通して共有すること、第3に、NPOの活動の支援に向け、市民一人ひとりの自治意識や当事者意識の向上を図っていくこと、第4に、行政職員のNPOに対する理解は十分とはいえず、今後、質の高い協働の推進のためには、NPOの体験研修や意見交換会、職員研修会などの充実を図り、NPOへの理解や協働への自発性を高めていくこと、第5に、NPOと県との協働の実績や経験を活かして、NPOと市町村の協働促進を図っていくことなどである。
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