1、PL-3の物性とアポトーシス誘導機構の解析 PL-3タンパク質はミトコンドリアに局在することを明らかにした。PL-3遺伝子を導入した細胞ではミトコンドリアから放出されたチトクロームcがcaspase経路を活性化してアポトーシスが誘導すること、またPL-3によるチトクロームcの放出はBcl-2ファミリータンパク質には非依存性でありPermeability Transition Poreを形成するタンパク質であるCyclophilin Dに依存性であることを明らかにした。 2、動脈硬化血管における発現解析 アデノウィルスによるPL-3遺伝子の導入系を確立した。ラット頚動脈内膜擦過による内膜肥厚モデルに対してアデノウィルスによるPL-3遺伝子導入によって内膜肥厚を抑制できる可能性を示した。これによって遺伝子治療への応用が可能となった。 3、ノックアウトマウスの作製 マウス胎児幹細胞の培養系を確立した。PL-3遺伝子のターゲティングベクターを培養マウス胎児幹細胞に電気穿孔法により導入し、遺伝子改変細胞を得た。PCRあるいはサザンプロット法により正常にターゲティングが行われた幹細胞を選別しマウスブラストシストにマイクロインジェクションした結果、数匹のキメラマウスの作製に成功した。 4、平滑筋細胞の表現系と発現の解析 PL-3遺伝子発現を定量するためのReal Time PCR系を確立し、合成型と収縮型の平滑筋細胞ではPL-3遺伝子発現レベルが異なることを明らかにした。平滑筋細胞増殖因子による刺激に対してPL-3遺伝子が変化することを確認した。 5、アポトーシス誘導における必要十分性の検討 PL-3遺伝子発現を抑制するためのアンチセンスプラスミドあるいはsiRNA導入システムを確立した。PL-3遺伝子発現を抑制した細胞はアポトーシス誘導刺激による細胞死に対して耐性となることを明らかにした。
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