研究概要 |
申請者は、酸化ストレスに応答するオーファン受容体の探索法を独自に開発し(水上特願平成13年)スクリーニングした結果、p53を活性化し細胞死を誘導する新しい受容体を発見し(Kimura and Mizukami, JBC,2001)、この受容体を低酸素誘導細胞死受容体(Hypoxia-induced apoptosis receptor, HIA-R)と呼ぶことにした。本研究の目的は申請者が開発したHIA-Rノックアウトマウスを用いて(1)HIA-Rの生理的リガンドを同定することさらに(2)HIA-Rのストレスに対する生理機能を解明することである。 HIA-Rノックアウトマウスの作製に取り組みヘテロマウスが誕生している。ホモマウスは出産しないため、バッククロスをかけ出産可能なマウスへの掛け合わせを行っている。現在3世代のクロスが終了し、これから残り2世代のクロスが終了した時点でホモマウスを作成しリガンドスクリーニングを行う。また、ポジティブコントロールのために受容体が細胞膜に移行した変異細胞のクローニングに成功した。GPR30膜移行変異細胞を用いてスクリーニングを開始する。リガンドスクリーニングのための細胞内カルシウム測定の確立(AquaCosmos浜松ホトニクス山口大学現有)が終了し確実にカルシウム濃度での測定が可能になっている。低分子生理活性物質の精製法の確立も行われており、熱変性タンパク質の限外濾過、ゲル濾過による分離条件が確立出来ている。香川大学波多野助手は最新鋭の質量分析計(Q-Tof ultima MicroMS香川大現有)によるオーファン受容体のプロテオミクス解析法を確立し、HIA-R結合蛋白としてすでに59個のアミノ酸配列の決定に成功している(日本生化学会で発表済みin preparation)。
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