平成18年度は、7月に沖縄県石垣島および黒島の「豊年祭」のガーリーを調査し、パフォーミング・アーツのあり方を研究した。石垣市という中央から遠く離れた中小都市における人々のパフォーミングは、生活そのものであり、豊年に対する感謝の喜びと次への祈りを表現したものであった。 6月には、一つの区切りとして単著『これが高知のよさこいだ!いっごそとハチキンたちの熱い夏』を岩田書院から刊行した。これは底支えをしている町内会と商店街、地区競演場、さらに音楽・衣装・振付けの制作者への聞き取りを元に書き上げたものである。8月から9月にかけて、共同通信社配信の「ひと」欄で、取材を受けたよさこい祭りの記事が全国の地方紙に掲載された。 8月9〜12日のよさこい祭りでは、「帯屋町筋」の地方車に搭乗させていただくことができ、地方車のトップから鳥瞰的によさこい祭りの全体像を調査することができた。53回皆勤を誇り、帯屋町筋アーケードをパレードに開放し、ジュニア隊チームも参加させているチームの練習から本番にかけての全行動を調査した。踊りにはこの商店街出身の広末涼子氏も子どもを連れて参加していることに見られるように、3〜4世代にわたる商店街の伝統がよさこい祭りを支え、常に新しい創造を生み出し、進化に大きく貢献している実態を把握できた。ここ数年のよさこい祭りの傾向は、正調回帰現象が大きなうねりとなっており、音楽《よさこい鳴子踊り》が生かされ、踊り子たちが自分のために踊り楽しむというパフォーミングを見せている。パフォーミングは新たなアーツとしてさらに進化を続けている。今後は全国展開している「よさこい」系祭りの研究を展開する予定である。 なお、この「帯屋町筋」チームの行動は、私が「よさこいウオッチャー」という形で、高知放送のテレビの番組となり全国にも放送された。
|