研究課題
本研究はパーソナルコンピューターを常用する上肢障害者に対して、より生体的負担の少ない入力補助器具を開発することを目的として平成16年度から実施している。障害者自立の家「AJUわだちコンピューターハウス」に勤務する重度身体障害者10名に対して筋電図とモーションアナライザーの測定を行った。肩及び上腕の筋負担は、全般的に機能一次試作(以下、1次試作)の有無に関係なく同程度であったが、前腕のそれは、一次試作によって軽減することが認められた。特に脳性小児麻痺の被験者には、作業時の前腕伸筋群(手首を持ち上げる筋群)の負担が一番大きく、次に肩の負担が大きいことが判別できた。入力作業中は、手首を持ち上げて落とすという、腕に大きな負担がかかっていることが判明した。机の高さは低い方が良いと思われ、肘から先があまり下方にならないように位置をとる事が可能ならば、前腕の伸筋群の負担は減ると思われる。この様な場合では肩で前方にある腕から先を支え、肘の動作が無いために、このような筋負担になると考えられる。一次試作では常に両手首が同じスライドバー上で前後に移動し、左右については個々に移動・回転が可能であった。この方式で片麻痺の人には問題ないものの、両手入力が可能な被験者から「通常と異なる入力動作に違和感がある」という意見があった。機能二次試作(以下、二次試作)で両手首が個々に移動できる様に改良し、AJUわだちコンピューターハウスで試用したところ筋負担度については一次試作同等の評価を得たが、一次試作では見られなかった被験者の前傾姿勢が確認された。これは支障なく入力を行える位置に二次試作を設置すると、キーボードやノートパソコンが被験者から離れ体幹の前傾が生じたと思われる。この点を機能三次試作では改良し、さらにスタイリングデザインを行い、関係学会で発表する予定である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
日本デザイン学会 第53回研究発表(石川)、2006.6、概要集
第40回日本作業療法学会(京都)、2006.6
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第39回日本作業療法学会(茨城)、2005.5、作業療法 24・特別号
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第20回日本義肢装具学会(静岡)、2005.11、目本義肢装具学会誌 20・特別号
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