研究概要 |
点字を応用した絵画による美術概念の研究、制作という課題に基づいて、作業を進めてきた。 1,絵画概念の分析。視覚から触覚への翻訳可能性と限界を探る。 2,色彩、形態などの諸要素を点字に翻訳するため、文章化を試みる。 3,絵画概念の点訳作業とともに、絵画の物質的側面(絵の具の筆触、支持体の平面性、額縁など)は触知可能な要素として作品に生かしてゆく。 4,絵画の諸要素のうちからひとつの要素を取り出して、点訳し、物質的特性を生かして、点字絵画を制作する。 5,点字の判読できる視覚障害者による、作品の鑑賞とともに、美術の経験豊富な観客層へのアプローチを同時に行うことで、相互共通理解の可能性と不可能性を探り、絵画における視覚の役割の重要性を再検討する。 6,上記の制作によって見いだされた問題点から、コンピュータによる画像処理と3D彫刻機を用いて、光の強さを物質の高さへと置き換えることで、光の等高線を作り出し、絵画のなかでも、重要な要素と考えられる「光」を物理的な高低に翻訳し、触知化する実験にとりかかる。(光の物質化の実験) 7,ルネッサンス期以降の重要な絵画作品を上記のデジタル技術による「光の物質化」する作業を行う。 8,実験結果の検証、および、今後の制作への展開可能性を探る。
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