研究課題/領域番号 |
16602012
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
松井 紫朗 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (60275188)
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研究分担者 |
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (30232523)
小清水 漸 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (90326182)
吉富 進 宇宙航空研究開発機構, 宇宙利用推進本部・通信測位利用推進センター, センター長 (40358742)
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キーワード | 芸術諸学 / 文化人類学 / 微小重力 / 植物 |
研究概要 |
2005年、ロシアの宇宙での生物実験をリードしてきたIBMP(宇宙生物問題研究所)訪問の結果、我々の研究のように、単なる食物用や植物鑑賞としてではなく、「庭」というかたちで宇宙における人間と自然のインターフェースを実現しようという試みは前例がないということが明らかになった。一方で、ロシアの水耕による植物栽培、我々が考案した、ピートモスによる下地と苔による保湿をベースとする培地方式の宇宙庭共通の問題として、バクテリア、菌類による閉鎖空間の環境汚染が憂慮されることがわかった。JAXAのスタッフと協議した結果、この研究の目的、「宇宙環境における「庭」モデルを制作・提示する」および、「『宇宙作庭記』すなわち「宇宙飛行士のための作庭ハンドブック」を制作する」為には、「きぼう」が属するアメリカの環境基準を満たす、閉鎖空間環境を汚染しない植物育成の方法を独自に研究・開発することが、必要不可欠であることが確認された。 バクテリアや菌類の排除を最優先とする宇宙の微小重力・閉鎖環境下での植物育成でありながら、単なる科学実験ではなく、これまで我々が行ってきたように「庭」の条件を満たす、美的直感的な造形を主眼とする形状を兼ね備えていること。これら諸条件をクリアーする為に、植物の地上部分はこれまでのように露出させながら培地部分を閉鎖し育成するという方向で、京都大学森本研究室とも協議を重ねた結果、噴霧耕による半閉鎖式育成法に可能性を見出し、これを継続して研究・開発することとした。この方針を踏まえ、本年度は、噴霧耕を保証しながら「庭」の形状ともなる容器の形状・材質の研究・制作を行った。そして4月初旬に控えるパラボリック・フライトによる実証実験の結果を加え、この段階での、最終的な宇宙環境における「庭」モデルの提示を目指す。
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