本研究は、元東京新橋組合副頭取で昭和24年(1949年)から50年に渡り新橋芸者を勤めた"小ひ奈"(大正15年(1926年)東京築地生まれ、平成11年12月(1999年12月)に他界)が生前残したの舞踊の映像を資料として、1)フィルムやテープ等のアナログ映像資料をデジタル化して整理・保存し、2)"小ひ奈"の踊りの様式の特徴や上演作品の特徴を分類・分析し、日本の舞踊文化の一面としての関東芸妓の舞踊の特徴を考察すること目的とする。初年度の平成16年度は、小ひ奈の自宅に保管されている映像資料(録音資料も含む)の整理を行い、小ひ奈の舞踊の特徴を捉えるために資料として利用可能と考えられる映像資料約100本(8mmフィルムとビデオカセットテープ)と、録音資料約30本(オープンリールテープ)をデジタルデータ変換処理し、基本的資料として保存作業を実施した。映像資料は、新年会を中心とした接待時の舞踊風景や、芸妓衆の舞踊の練習風景、舞台での舞踊風景等多岐に渡る。録音資料は、小ひ奈が踊った舞踊作品の練習時に使用したと考えられるテープが主なものであり、地方の会話や芸妓の会話等も含む現場の稽古の様子がうかがわれる貴重な音源がある。現在の課題として、芸妓という職業はきわめて特殊である故に、映像資料における被写体のプライバシーをどう考えて、画像処理していくかが課題である。この点については資料保管者である親族と検討を進めている。次年の平成17年度の計画としては、映像および録音資料内容の分析(作品名や系統による分類)と資料の加工、およびデータベース化が主たる研究となる。
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