研究概要 |
本研究は、「芸術表象」の分野の科研費補助金を得て第3年目の最終年度を迎える。ここ数年、現代アジアの女性アーティストの芸術表現に焦点を当て、アジアの歴史的コンテクストと関わらせ、ポストコロニアルな状況における表象の政治といった批判的視角、および、ジェンダー理論の枠組みから、女性の主体構築と新しい表現の可能性を明らかにしてきた。アートを歴史や政治から切り離す従来の批評の枠組みを問い直すことはますます重要になっている。とりわけ、20世紀の帝国主義や植民地主義の歴史、その予期せぬ結果としての難民、移民、亡命者たちの経験をふまえ、現在新たに進行しているグローバリゼーションのもとで生み出されるディアスポラ(離散)の人々の抵抗と表現について考察を深めることができた。今年度の具体的な取り組み、主な研究活動は、以下の通りである。 (1)池内とレベッカ・ジェニスンは、クイーンメアリー、ロンドン大学で開催された国際パフォーマンス学会(2006年6月14〜18日)に参加し、研究発表を行なった。Ikeuchi, "Staging a Korean Diasporic Artist's Text, Dictee at an Alternative Space in Kyoto," and Jennison, "Personal Geographies, Public Spaces : Negotiating Identities on the Borderlines," in a Panel Titled : Producing Public spaces for Creative and Critical Dialogue : Performance as a Site for Post-Colonial and Gender-Critique in Japan, for the Performance Studies International Conference no 12. (PSi#12 : Performing Rights), (2)池内は、クイーンズランド大学、モナシュ大学共催でメルボルンにおいて開催されたオーストラリア女性学大会(2006年7月9〜12日)で、研究発表を行なった。Ikeuchi, "Feminist aesthetics in Kishida Rio's theatre and film texts," in a Panel : Gender, Globalisation and Performance : Ono Yuko, Kishida Rio and Mori Mariko, under the 2006 conference theme, 'TWENTY-FIRST CENTURY FEMINISMS.' (3)レベッカ・ジェニスン通訳:「ジンミー・ユンのアート:資格的に刻印された身体-カナダにおける人種化とジェンダー」、立命館大学第8回ジェンダー研究会、プロジェクトA1、2006年12月13日 (4)鄭暎惠「越境するアイデンティティとネットワーク〜済州島女性の過去と現在」、戦後東アジアプロジェクト・国際共同シンポジウム「植民地主義とディアスポラになった朝鮮人女性たち」、2006年10月22日、東京外国語大学 (5)北原恵「Comical&Cynical」展-日韓女性アーティストの出会い」Comical&Cynical展フォーラム、於:大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)2007/1/20
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