◆プロジェクト2年目は、「戦争画」「戦争記録画」のなかでも、特に「第二回大東亜戦争美術展」と同展に出品された3枚の絵画について調査した。展覧会の歴史的経緯や機能、評価などを当時の新聞記事や美術雑誌などからたどることが課題であった。その結果、同展に特別出品されながら、これまで特に焦点化されることのなかった3枚の天皇・皇后像について、詳細な調査研究をまとめて発表したほか、地方巡回の開催場所や期間について、これまでの資料の誤りを発見するなど、基礎的な資料作成に貢献した。また、上記の作業の中であらたに着目したマッカーサー戦記Reports of General MacArthur(1966)に掲載された日本の戦争画について、初めて注目し論考をまとめることができた。 主に(1)基本文献の収集、戦争画関連の図録・記事・論文の収集、戦争の記憶に関わる史跡やミュージアム関連の図録・図書の収集、(2)ウィーンでの調査、(3)論文の出版、各種研究会での発表・参加を行った。 ◆具体的な活動スケジュールは次の通りである。 ○2005/5/21&5/27研究発表「「人間天皇」の写真と表象」写真研究会(同志社大5/21)&人種研究会(京大人文研共同研究班5/27) ○2005/7/30研究発表「15年戦争期の天皇と皇后の肖像」(イメージ&ジェンダー研究会主催シンポジウム「イメージという戦場」東京都港区男女平等参画センター)戦争のビジュアル表象に関する研究発表の企画に携わる。 ○2005/8/17〜18広島へ調査(広島県立図書館、大和ミュージアム、江田島教育参考館など) ○2005/10/15〜10/24ウィーン、ベネチアへ戦争関連の遺跡や施設・ミュージアムなどを見学・調査 ○2005/12/26〜12/29知覧特攻隊記念館、宮崎・八紘一宇の塔の見学・調査 ○2006/1/7研究発表「消えた天皇・皇后像と「戦争画」-第二回大東亜戦争美術展に特別奉掲された三枚の絵画」越境する歴史学研究会(京大・人文科学研究所)
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