◆2004(平成16)年度 「戦争画」というジャンルがどのように形成されてきたのか、そのことによって何が「戦争画」と名指され、何が排除されたのか、またその境界はどのように機能したか、について、戦前・戦後に書かれた記事や文書を言説分析の手法を用いて明らかにすることが、本プロジェクトの初年度の中心課題である。そこで、(1)基本文献の収集、戦争画関連の図録・記事・論文の収集、戦争の記憶に関わる史跡やミュージアム関連の図録・図書の収集、(2)韓国での調査、(3)「戦争と女性」(東京の美術研究者の研究会)への参加などを行なった。 ◆2006(平成17)年度 プロジェクト2年目は、「戦争画」「戦争記録画」のなかでも、特に「第二回大東亜戦争美術展」と同展に出品された3枚の絵画について調査した。展覧会の歴史的経緯や機能、評価などを当時の新聞記事や美術雑誌などからたどることが課題であった。その結果、同展に特別出品されながら、これまで特に焦点化されることのなかった3枚の天皇・皇后像について、詳細な調査研究をまとめて発表したほか、地方巡回の開催場所や期間について、これまでの資料の誤りを発見するなど、基礎的な資料作成に貢献した。また、上記の作業の中であらたに着目したマッカーサー戦記Reports of General MacArthur(1966)に掲載された日本の戦争画について、初めて注目し論考をまとめることができた。主に(1)基本文献の収集、戦争画関連の図録・記事・論文の収集、戦争の記憶に関わる史跡やミュージアム関連の図録・図書の収集、(2)ウィーンでの調査、(3)論文の出版、各種研究会での発表・参加を行った。 ○2004年8月韓国(済州島)、旧日本軍の戦争関連の遺跡や施設・ミュージアムを見学、調査。2004年9月韓国光州ビエンナーレ展や釜山ビエンナーレ展を見学。戦争展示を見学調査。○2004年11月3日「女性・戦争・人権」学会(東京大学)で研究発表。○2005年5研究発表「「人間天皇」の写真と表象」写真研究会(同志社大)&人種研究会(京大)○2005年7月研究発表「15年戦争期の天皇と皇后の肖像」(I & G研主催シンポジウム)○2005年8月広島へ調査(広島県立図書館、大和ミュージアム、江田島教育参考館など)○2005年10月ウィーン、ベネチアへ戦争関連の遺跡や施設・ミュージアムなどを見学・調査○2005年12月知覧特攻隊記念館、宮崎・八紘一宇の塔の見学・調査○2006年1月研究発表「消えた天皇・皇后像と「戦争画」」越境する歴史学研究会(京大)ほか。
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