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2005 年度 実績報告書

日本企業の資金調達手段の決定要因に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16603005
研究機関流通科学大学

研究代表者

来栖 正利  流通科学大学, 商学部, 助教授 (80268573)

キーワードPecking Order Theory / Model / 資金調達手段 / 外部資金 / 内部留保
研究概要

本稿の目的は、企業の財務構造を決定する要因を説明するPecking Order Theory/Modelの特徴を提示することである。そのさい、対立して論じられるTarget Adjustment Modelの言及も必要に応じて行った。本稿の要約を簡潔に行っておこう。Pecking Order Modelが想定している企業は主に成熟企業である。したがって、当該モデルをさまざまな組織形態に適用し、当該モデルの有効性を検討することができる。しかも当該モデルは経営者の価値観と外部資金の調達行動とを関連付ける可能性が残っている。経営者の行動規範をモデルに組み込み、先行研究が提示した含意を再検証することはPecking Order Modelを精緻化する一つの機会となる。たとえば、Myers(2001,p.92)はPecking Order Modelのポイントを簡潔に指摘している。起債は経営者に対して投資家との間で生じている情報優位な立場を最小にする。しかしながら自社株が過小評価されていると考えている楽観的な経営者は新株発行ではなく起債による資金調達を選好する。悲観的な経営者だけが新株発行による資金調達を選好する。
Pecking Order Modelに依拠して、上述の妥当性を検討することができる。たとえば、起債による資金調達を最初に行う経営者は自社株が過小評価されていても事業リスクを株主に負担させることを回避する株主の利害に沿った行動と解釈できる。換言すれば、現在株主のリスク負担を最小化し、事業実施後のリターンをより享受させようとする株主の利害の沿った行動を経営者が選好していると考えることができる。経営者が大株主またはストックオプションが付与されていればこの解釈は、より説得力をもつであろう。この点をPecking Order Modelに依拠して検証することは当該モデルの精緻化に寄与するであろう。他方、金融機関からの融資残高をPecking Order Modelに加味し、起債と新株発行とのバランスを検証することも興味深い今後の研究課題といえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 資本構造の決定要因2006

    • 著者名/発表者名
      来栖 正利
    • 雑誌名

      経理研究(中央大学経理研究所) No.49

      ページ: 442-451

URL: 

公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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