科学概念の形成を効果的に実現するリアルタイムIT活用法、特に、次の多様なITセンサーや運動分析ソフトを利活用して、力学分野、又は圧力・熱の分野等を詳細に記録し分析・検証する授業法を研究開発した。 1.抵抗が極小な教材(超軽量台車、スペースワープ機材、ホバークラフト)でのIT based授業開発で、運動法則、運動量、エネルギーなどの概念形成が困難だった分野でも効果的な概念形成が可能となった。 2.ドライブレコーダーという装置で車の日常的な運動を刻々と記録して、位置、速度、加速度を風景動画と同期して提示する(エクセル活用も可能)授業モジュールを研究開発した。 3.GPS装置で多様な運動(飛行機、新幹線、自転車、ランニングなど)に関する3次元の位置情報(3個以上の衛星からGPS信号を受信)により効果的な速度概念の形成を可能にした。 4.有線の制約を超越した無線LANセンサー・PCシステムや携帯センサーシステムのリアルタイムIT活用で、諸分野の素朴概念を科学概念に転喚する効果的授業法についての研究開発をした。 5.空気抵抗や水の粘性抵抗などが支配的な「空中や水中での物体の運動」を予想・検証して、摩擦の支配的な日常世界を解き明かす教材研究開発をした。 ICPE(国際物理教育)2006東京会議(8月13日〜18日)やASPEN香川Workshop(8月10日〜12日)を組織し、講演やワークショップでそれらの諸成果を発表してその意義や重要性を国際的にアピールした。超軽量台車、超軽量紙・アルミ容器の落下実験や水中落下実験は世界的に広く歓迎された。日本物理学会(9月の愛媛大学)の物理教育シンポジュウムでは「ICPE2006東京会議の報告と世界の物理教育の動向」なる招待講演を行った。国内諸学会や教員研修でも成果を発表して、現場教師や研究者との研究交流や研修の場を重ねて成果を広く普及した。
|