研究概要 |
本研究は、近年強く指摘されている子どもたちの「理科嫌い」「理科離れ」の要因の一つに、小・中学校教員の「理科嫌い」が大きく関わっているのではないかとの視点から出発し、「小・中学校の教員の科学的能力の向上に貢献する大学の授業の改善・充実」を本研究の目的と定めた。 科学的能力を育成・向上させ、望まれる教員を育成するためには、まず基本的な段階として、基本的能力が必要であるとの立場のもと、次の課題を設定し、研究を進めた。ここでいう基本的能力とは、Planning, Monitoring, Thinking, Ability of observation(先を見通す力,表現力,認識力,注意力,思考力など)を指す。 1 教育学部における理系授業の現状分析と改善方法の追究 2 学生に成就感を与える学生参加型授業の要因の分析とその方法の追及 3 ポートフォリオを用いた授業改善方法の追究 4 授業評価用データ集計・分析のためのシステム構築 研究の結果、小学校教員を目指す学生の多くが理科に対する苦手意識を持っていることは事実であるが、理科の魅力、理科を担当する教員の役割について納得しながら学習を進めていくこと、また学生の要望に応えていく形で授業を展開していくことで理科に対する苦手意識を変えることができるのではないかとの結論に至った。そのための授業支援ツールとして「学習の記録(ポートフォリオ)」が効果的であることも示された。 学生の声を集約するための授業評価システムについては、ユーザーである教員の立場から使いやすさを目指し、改善、構築を行った。 今後の課題としては、学生の理科教員としてのスキルに注目し、不十分な点を補えるよう、個に応じた対応が挙げられる。そのためには、教科教育に関する科目と専門教育科目との融合をどのように図るかという点も重要な課題である。
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