16年度においては、主にマイクロ・メソ大気数値計算モデルに関する基礎研究を行った。特に、次の方面に研究成果をあげた。 (1)圧力ベースのプロジェクション法に基づいた時間積分定式化を提案した。この定式化は全てのマッハ数のながれに対して適用できる。これによって圧縮性と非圧縮性流体を統一的に解くことを可能にした。または、圧力を補助変数として扱い、オイラー方程式従来の保存性を保持することができる。更に、有限体積CIPであるVSIAM3の離散手法を用いることによって保存且つ音波を含む圧縮・非圧縮の統一解法を構築した。 (2)CIP有限体積法は浅水波モデルと圧縮性非静力大気もデルに適用し、陽的な時間積分を使った場合も安定且つ計算精度の高い数値計算結果を得られた。ベンチマークテストにおいて既存のモデルと比較し、モデルの強靭性、数値分散の正確性などの面で優れた性質を持っていることを分かった。これらの結果からCIP有限体積の大気モデルへの適用性を確認できた。 (3)大気数値モデルにとって非常に重要である移流過程に対しPRMスキームを提案した。PRMスキームは保存スキームであり、現在広く使われているPPMスキームに比べ、数値分散エラーは少ない、計算負荷は軽いなどの特徴を持っている。PRMスキームは本研究の目標であるマルチスケール大気数値モデルだけではなく、あらゆる流体数値モデルに適用できる。
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