17年度においては、引き続きマイクロ・メソ大気数値計算モデルに関する基礎研究を行うと共に、自由界面を含む成層流計算コードの並列化や特性理論による高精度化、または非構造格子の導入などを行った。特に、次の方面に研究成果をあげた。 1)水平方向の離散化についてM-グリッドを提案した。離散式の分散関係に対する解析によると、MグリッドはArakawa系の差分グリッドより優れている。さらに、Mグリッドは有限体積法の定式化に基づいたため、完全に保存している。 2)自由界面を含む成層流をより効率よく計算するため、新たに自由界面の追跡スキームとしてTHINC法を提案した。これによって、従来の手法に比べ、計算精度に遜色のない高速計算が実現した。現在、計算コードの並列化は完成し、大規模シミュレーションの準備を整った。 3)計算座標について、まず多重モーメントを用いて非構格子における高精度スキームを開発した。任意三角形および四角形格子での三次または四次精度の移流スキームを提案し、更にそれぞれのグリッドにおいて特性理論に基づく浅水波モデルを開発した。また、Cartesian座標系のもとでの地形処理について、部分体積やImmersed Boundary Methodを導入し、検証テスト計算を行った。
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