研究課題/領域番号 |
16605006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
広瀬 喜久治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10073892)
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研究分担者 |
後藤 英和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80170463)
稲垣 耕司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50273579)
小野 倫也 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (80335372)
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キーワード | 第一原理電子状態計算 / 電気伝導特性 / ナノストラクチャー |
研究概要 |
本研究では、申請者らが独自に考案した第一原理によるナノ構造体の電気伝導計算手法に基づく本格的なシミュレーションプログラムを開発するとともに、これを用いて電極間に構築された原子・分子細線やナノチュー、フラーレン鎖、生体分子、MOSFETの絶縁用薄膜などの電気伝導特性を理論的に予測することを目的としている。 今年度は、昨年度開発した空間に局在したWannier関数を用いた結晶電極に挟まれたナノストラクチャーの電子状態計算プログラムに高精度なノルム保存型擬ポテンシャルを組み込み、高精度化を図った。そして、半無限に続くシリコン基板に挟まれたシリコン/酸化シリコン界面の電子状態計算を行い、界面欠陥の帯電状態を調べた。特に、欠陥を持ったシリコン/酸化シリコン界面の原子構造と、それらのゲート電圧印加時の電子状態に注目した。その結果、ゲート電圧印加により界面付近にたまった電荷の電子状態は、界面欠陥や界面近傍の酸化膜内の欠陥の影響を大きく受けることが分かった。さらに、この界面構造に電極から電子を入射し、酸化シリコン薄膜を流れるリーク電流の経路を調べた。その結果、入射電子は欠陥の部分から酸化シリコン膜に入り込むため、その部分だけ局所的に酸化膜の有効膜厚が薄くなることが分かった。 また、これまでに使ってきた定常状態の電気伝導特性ではなく、電子伝導の時間発展を調べる計算手法を開発し、この手法に基づく計算プログラムを開発し、その有用性を確認した。
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