研究概要 |
神経幹細胞の可視化と選別を目的として、転写因子Hes1およびHes5プロモーター下に半減期の短い不安定なGFP(d2EGFP)を発現するトランスジェニックマウス(pHes1-d2EGFP, pHes5-d2EGFP)を作成し解析した結果、pHes1-d2EGFPの発現が神経幹細胞を可視化するマーカーとなり得ること、FACSにより幹細胞を選別し回収できる可能性が示された(Molecular and Cellular Neuroscience 2006 31:109-122)。 pHes1-d2EGFPトランスジェニックマウスでは、EGFPは胎生期において神経管の脳室周囲帯に限局した発現パターンを示し、ニューロンには発現しておらず、radial gliaを含む増殖能を持った未分化な細胞に発現していた。 このマウスの各発生段階(E11.5,13.5,15.5,17.5)における終脳背外側部からGFP陽性細胞を回収し、各発生段階特異的に発現する遺伝子の網羅的解析を行った。この中で、各ステージに発現のピークを持つ遺伝子を選択し、その発現パターンとニューロン・グリア分化における機能解析を進めた。 これにより各発生段階の神経幹細胞のマーカーとなる因子、神経幹細胞の維持及びニューロン・グリア分化を制御する遺伝子の同定を進めている。
|