研究概要 |
試験管内で分化誘導を誘導したES細胞は、PDGFR・陽性、E-cad陰性、VEGFR2陽性分画(double positive cells:DP)、PDGFR・陽性、E-cad弱陽性、VEGFR2陰性の分画(PDGFR・single positive cells:PSP)、PDGFR・陰性、E-cad陰性、VEGFR2陽性分画(VEGFR2 single positive cells:VSP)、PDGFR・陰性、VEGFR2陰性の分画(Double negative cells:DN)の4つに分けられる。これらの分画のfateと遺伝子発現解析を用いて今回、PSP分画が沿軸中胚葉に、またVSP分画が側板中胚葉に相当することを明らかとした。また、DP分画からはPSP,VSPの両方の分画に分化することと、未熟な中胚葉に発現する分子の発現が高いことから、もっとも未熟な中胚葉分画であることが判明した。さらに、興味深いことに、PSP,VSP分画ではそれぞれの分画間で相互にlineage switchが起こることが私たちのシステムを用いて初めて証明された。このlineage switchは時間依存的に減少する傾向がみられ、6日目を過ぎると極端に減少した。これらのデータは現在論文にして投稿中である。またBrachyury-promoterのtransgenic ES細胞を作成した。このES細胞とすでに私たちが樹立したgoosecoid-knock-in ES細胞について、分化誘導後に得られる中胚葉細胞は同じVEGFR2マーカーを発現しながらも内皮細胞への分化能力は大きく違うことが明らかとなった。
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