PDGFRαとFLK1という2つのマーカーを使いES細胞由来の2つの異なるタイプの中胚葉を分離することが可能となった。PDGFRα陽性、FLK1陰性分画から沿軸中胚葉由来の骨、軟骨、PDGFRα陰性、FLK1陽性分画が側板中胚葉由来の血液、血管内皮細胞に分化する。したがって、PDGFRα陽性、FLK1陰性分画が沿軸中胚葉に相当し、PDGFRα陰性、FLK1陽性分画が側板中胚葉に相当すると考えられた。このことは、それぞれ特異的に発現するマーカーの発現解析からも確認された。さらに、この2つの中胚葉細胞がPDGFRα陽性、FLK1陽性細胞から分化することと、この2つのタイプの中胚葉は相互に別のタイプの中胚葉に分化できる可塑性を有することが明らかとなった。 一方、オルガナイザー特異的に発現するGoosecoidをマーカー分子として、この分子の発現細胞を可視化するために、goosecoid遺伝子座にGreen Fluorecene protein(GFP)遺伝子をKnock-in法にて挿入したES細胞を樹立した。このES細胞を用いて、無血清培地にactivin A添加の条件で、分化誘導後6日目では実に97%の細胞にGFPの発現が誘導される条件を確立した。このGFP陽性細胞から、分化とともに、E-cadherin陽性の内胚葉前駆細胞、E-cadherin陰性の中胚葉細胞が出現することが判明した。さらに、シングル細胞の分化能力の解析から、分化誘導後4日目のGFP陽性細胞には、内胚葉系細胞と中胚葉系細胞の両方に分化できる中・内胚葉細胞が存在することが明らかとなった。
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