研究課題
昨年度に引き続き、現在の東京における都市計画事業、都市再生事業、都市再開発に関するデータの収集を行った。今年度は、都心の再開発に関する行政・デヴェロッパーの言説やイメージ戦略、東京の開発史、東京の郊外化の歴史と現状に焦点をおき、文献調査を行った。書籍データだけでなく、新聞記事や不動産広告等も現代の都市開発に関する言説やイメージのデータとして調査・収集を行った。さらに、現時点の東京の現状に関するデータとして、空撮映像の資料も収集している。本研究のもうひとつの柱であるネット上の都市イメージの収集では、w-getというコンピュータ・プログラムを利用して、都市再開発に関する行政、デヴェロッパー、シンクタンク、地域団体等がweb上で展開する都市イメージや都市言説の収集と調査を実施した。これらのデータについては、対象とするwebの選択や作業手順等に関してさらに改善する必要があるので、今年度の成果を踏まえて来年度も継続調査を実施する。上記調査を通じて、昨年度の研究でも確認された都市空間の不連続化が再確認されると同時に、こうした空間の産出が現実の都市空間とイメージの都市空間の相互言及の中に根拠をもつという構図が仮説的に見出された。こうした構図の中で現代の都市空間では、住民だけでなく、来訪者やテナントに入居する企業、デヴェロッパーに発注する自治体等も含む都市空間を利用する諸アクター、すなわち都市空間の消費者をひきつけるべく、様々な記号やイメージが組織され、スペクタクル化、イベント化している。この構図は都心再開発だけに妥当するものではなく、郊外の再開発にも見出される。最終年度は、これらの仮説をより裏付けるデータの集中と分析を進めてゆく。
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Social Science Japan Journal Vol.8, No.2
ページ: 305-308
Mobile Society Review 未来心理 Vol.4
ページ: 6-11