本年度は、研究初年度として、日本の市町村合併、フランスのコミューヌ間協力組織が、各々都市計画・都市再生にどのように取組んでいるか、特徴的な事例を調査した。 1.日本では、新潟県上越市を対象とした。その理由は、(1)14市町村の合併という大規模合併、(2)新市域内に複数の都市計画区域が存在、(3)複数の市町村が景観条例を制定、などである。 調査の結果、明らかになったのは、次の2点である。(1)現時点では法定の都市計画については、市町村合併によって何の改正も施していない。(2)独自条例としての景観条例は、合併協議の過程では存続する上越市の景観条例を新市域全体に適用して済ませることとしていたものの、その後に編入される町条例の中に上越市条例よりも詳細な規定を説けているところがあることが判明し、上越市条例の規定を適用してその規定の内容を担保する作業を進めている。 2.フランスでは、マントゥ・アン・イヴリーヌ市街地共同体(Communauted' Agglomeration de Mante en Yvelines)を対象とした。その理由は、(1)1970年代後半以降、団地再生に長らく取り組んでいるヴァル・フレ(Val Fourre)団地の存在、(2)企業を納税者とするコミューヌ税である職業税を統合した市街地共同体の設立、である。 調査の結果、明らかになったのは、次の2点である。(1)コミューヌ間協力組織制度のひとつである市街地共同体という制度は、そもそも地域の経済開発・地域開発・住宅政策・困窮防止政策を対象分野としている。(2)国の都市再生制度は市街地共同体中の重点地区に、EUの地域再生制度はその中のさらに拠点事業に適用され、コミューヌ間協力組織はそれら重点事業の効果を広域に及ぼす機能を果たしている。
|