1.研究実績は、標記の課題につき、日本とフランスの各々の調査・分析を行ない (1)日本については新潟県内で、広域市町村圏で地域再生に取組む岩船広域地域事務組合、市町村合併をした新潟市・上越市の3地域を調査対象とした。広域地域事務組合は一定の施策をその目的としているため、目的の中に都市再生・地域再生が含まれていれば取上げる。岩船地域広域事務組合は共同で処理する事務である「ふるさと市町村圏計画」の中に、住民参加による地域づくりとして「都岐沙羅地域づくり事業」を掲げて地域再生に取組んでいる。他方、市町村単位の狭域の取組みは市民活動団体からの乏しい。合併をした新潟市・上越市では合併した新市の体制作りが大きな課題で、都市計画のような個別施策の広域化は緒に着いたばかりである。狭域施策について、両市とも策定を進めている自治基本条例案では規定されている。しかし新潟市のコミュニティ協議会のように枠組み作りが始まったところで、都市再生・地域再生につきどのような権限を行使できるのか明確でない。 (2)フランスについては、法制の展開を追うとともに、パリ西郊のマントゥ=ラ=ジョリ市ならびにマントゥ=アン=イヴリーヌ都市圏共同体を調査対象とした。フランスの地方公共団体一般法典は市町村間の広域組織について定めているが、都市圏共同体は市町村から必ず移譲を受ける権限を4分野定めている。それはa.経済開発、b.地域開発、c.住宅の社会的均衡分布、d.都市再生である。しかし、個々の事業の中では都市再生に伴って開設される道路が県道であるなど、市町村の施策の広域化しても広域の地方公共団体の権限との調整は済んでいない。また狭域行政については、住民参加は一般的な陳情や個々の調査対象の段階に留まっている。 2.両者の比較研究は、今後の課題として残された。
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