研究課題
基盤研究(C)
本研究は、都市計画、都市再生のために、日本とフランスが取っている広域=狭域のガバナンスのあり方を明らかにすることを目的として行なった。1990年代以降、日本とフランスにおいて、同じような経済的・社会的・行政的背景の中で、一方では地方分権が、そして他方では基礎自治体段階における広域行政の必要性が明らかになった。両国とも地方分権改革を進めながら、基礎自治体段階の地方公共団体の再編成について、日本では市町村自体の合併を進め、フランスではコミューヌcommune自体は維持しながらコミューヌ間協力制度を拡充した。日本における地方分権と市町村の広域含併は、個別政策分野におけるより良い政策運営を目指すという背景はあったものの、議論の主眼は機関委任事務廃止や三位一体改革などの地方自治総論だった。分権一括法によって、都市計画、まちづくりの分野においても建築確認を始めとして自治事務が増えたが、担当官庁に裁量の余地が乏しい覊東行為が分権化されたので、権限の分権化は果たしたが、分権化された制度に繋がらなかった。個別法制の改革は今後の課題である。また、現実にも合併市町村は、市民と市の新たな関係の構築が急務で、個別政策の改革には至っていない。逆に、合併せずに広域行政を展開している組織の方が新たな枠組みの工夫をしている。他方、フランスにおける90年代末以降の地方分権とコミューヌ間協力組織の発達は、80年代の全般的な地方分権改革の反省の上に立つもので、個別の政策の推進を前提としていた。そこでは、個別政策を基礎自治体を超える実施することを目的としたコミューヌ間協力制度、とりわけコミューヌ間連携公施設法人etablissement public de cooperation intercommunaleが法律上整理・拡充された。また、現実にも、全国的に見ても再生が必至の地域において、コミューヌ間連携公施設法人が都市再生の計画策定・事業実施の中核を担っている。
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Chiiki kaihatsu vol.490
ページ: 51-58
新潟日報
ページ: 8
Niigata Nippo, December 24
地域開発 490
ページ: 51-57