研究概要 |
1.研究の目的 本年度の本研究の目的は、昨年度調査したオーストラリア・メルボルンと並びリバブル・シティとして評価の高いカナダ・バンクーバーにおける公共交通網の再整備と、それに伴う都市圏の市街地整備に関する現地調査を実施し、昨年度の事例と併せてわが国における都市圏整備の方向性を明らかにすることであった。 2.本年度の研究成果 本年度の研究の主な課題であるバンクーバー都市圏の調査は、8〜9月に山下、香川、藤井の3名が実施した。山下は都心と主要な郊外タウンセンターの土地利用調査及び市役所、図書館等でのコミュニティ・プランなどの行政関係資料の収集を行った。香川は郊外住宅地の詳細な視察とサレー市での住宅とショッピングセンター開発の動向などについて調査した。藤井は都心と郊外タウンセンターの機能分担、公共交通との結びつきの状況などを丹念に調査し、その調査結果をメルボルンと比較・検討した。また、研究協力者のブリティッシュ・コロンビア大学のD.W.Edgington助教授とは現地で2度のミーティングを行い、バンクーバー都市圏の開発に関する現状についてのアドバイスを受けた。また、山下、伊藤、藤井は12月にブリスベンで開催されたオーストラリア都布会議に参加し、研究協力者のメルボルン大学のK.O'Connor教授よりメルボルン都市圏整備の現状や特徴について助言を受けると共に、都市研究者との情報交換を行った。その後、メルボルンに移動し、前年度に継続して郊外のアクティビティ・センターの視察とMoonee PondsとGlen Waverleyで土地利用調査を実施した。 こうした研究成果を、5月には人文地理学会都市圏研究部会で山下が「バンクーバー都市圏における持続可能な都市圏整備の展開」について、8月にはFUJII, YAMASHITA and ITOHがInternational Goographical UnionのTokyo Conference Urban Commission on Monitoring Cities of Tomorrowで「A Comparative Study of Multi-Nucleation of Metropolitan Areas : Suburban Centers and Commuter Flows in the Metropolitan Area of Atlanta, USA and Melbourne, Australia」について、10月には香川が東北地理学会秋季大会で「バンクーバー大都市圏郊外地域における宅地化の特徴-おもに南部のサレー市を例として-」について、さらに18年3月には日本地理学会春季学術大会で山下・藤井・伊藤・香川が「バンクーバー,メルボルン両都市圏における持続可能な都市圏整備政策とリバブル・シティの空間構造に関する一考察」について口頭発表した。論文等の研究成果は別途記載の通りである。
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