研究課題
基盤研究(C)
現行学習指導要領施行から、国際理解の一環として英語活動を総合的な学習の時間に行う小学校の数は着実に増加しており、新指導要領では、高学年の必修領域として外国語活動(原則として英語活動)がカリキュラムに組み込まれることになった。小学校英語の必要性は、保護者や経済界の期待を背景にますます強調されている一方で、国際理解教育における多言語・多文化共生意識育成の観点からは、英語支配意識を助長するとの批判もある。英語を中心とする外国語活動と国際理解教育との統合カリキュラム開発を目標としながら、本研究では、海外の外国語教育の調査と日本の公立小学校における授業実践を基に、試行錯誤を続けてきた。最初の2年間は、アジアからの留学生を教師として、彼らの出身地域の題材を扱う英語活動を、3年目は、ヨーロッパの言語意識教育を参考に、日本人教師のみで言語意識活動を、そして4年目は、ヨーロッパからの留学生と日本人を教師として多言語活動を実施した。その結果明らかになったことは以下の点である。1.アジアからの留学生がアジアの題材を扱うとしても、英語活動である限り、アジア地域に興味を持たせることはある程度可能であるものの、多言語意識を育成することは少なくとも短期間では困難である。2.日本人教師のみで、動画教材等を使用しながら多言語を紹介する活動を一定期間続けても、意識の変化はほとんど見られない。3.多言語を使用できる留学生と日本人教師とで、言語数を絞り、多言語を平等に使う活動を続けると、比較的短期間でも言語に対する興味や言語音識別能力を高めることができる。つまり、短期間であっても、英語活動とは別に、多言語を使用する活動をカリキュラムに組み込むことによって、言語や文化に対する興味、多言語意識、メタ言語能力を高めることが可能となる。
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Conscience du plurilinguisme: pratiques, re-presentations et interventions 論文集(印刷中)
Conscience du plurilinguisme pratigues, representations et interventions, Presses Universitaires de Rennes (PUR) publisher (in print)
奈良教育大学紀要 第56号、第1巻
ページ: 175-182
Bulletin of Nara University of Education- Cultural and Social Science Vol. 56, No. 1
英語教育実践学 論文集
ページ: 216-228
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Eigo Kyoiku Jissengaku, Kairyudo
International Understanding No. 36