研究概要 |
本年度の研究目的は,(1)現実社会を生きる学習者一人ひとりの学びが,全体としての子どもの発達に結実するよう,近年の総合学習を教育哲学(意味内容,教育関係の成立する場,教育関係),教育方法などの観点から省察すること,(2)教育内容,方法,評価を含むクロスカリキュラムによる学びの連関性を解明し,評価を含み込んだ総合学習のカリキュラムを開発することの二点であった。 この目的を達成するため,研究2年目の相当する平成17年度の5-7月の期間は,学び論,学習論一般についての理論を再度,整理することに費やし,その後の8月から12月までの期間は,調査研究対象校として挙げた学校(日本では,京都市立御所南小学校,福岡県赤坂小学校,篠山市立今田小学校,福岡県若宮小学校,山口県の明倫小学校の5校,イギリスでは,ロンドンのイーヴェリン・ロウ校,イセックスのモルシャム校の2校)に対してさらに聞き取り調査を実施し,そこでの教育実践やカリキュラム内容について総合学習と教科の「関連性」に着目して類型化した。 そして,総合学習と教科の関連性の観点からの「学び」論,4つのカリキュラムについて,学習者カリキュラムについて,教科,評価,学校レベルでの総合学習と教科の関連性,学年全体と単元のレベルでの総合学習と教科の関連性,教科レベルで総合的に関連づけた総合学習,国語,美術の教科の観点で関連づけた総合学習に関して議論し考察を加えた。 その結果,総合学習と教科の関連性の観点から,つまりクロス・カリキュラーの視点をもって授業作りをすることの意義と考慮点が解明された。
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