多数の化学物質を同時に検出できる半導体センサのプラットフォームとして、Light-Addressable Potentiometric Sensor (LAPS)をベースとする測定システムの開発を行った。 1.薄膜アモルファスシリコンを用いたLAPSの開発 LAPSの空間分解能は光源として用いるレーザのビーム径のほか、半導体層の厚さや少数キャリアの拡散距離によって決まる。薄膜アモルファスシリコンを用いた:LAPSは、バルクシリコンを用いた:LAPSに比べて高い空間分解能が期待できるほか、大面積化が可能であり、また半透明であることから他の光学的測定法との組み合わせにも有利である。 試作したアモルファスシリコンLAPSは化学センサとして動作することが確認され、通常の:LAPSと同様の感度が得られた。また、このセンサの空間分解能は1μmより高いことが確認された。 2.生体分子の微細パターニング技術の開発 LAPSのバイオセンサ/バイオチップへの応用を念頭に、半導体表面に生体分子の微細パターンを形成する技術の開発を行った。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope ; AFM)探針を用いて半導体表面を局所的に陽極酸化し、この酸化物パターンをテンプレートとして生体分子の固定を行った。この方法により、たんぱく質分子を幅100nm以下のライン状に配置したり、DNA分子の配線構造を作製することが可能になった。 3.微小流路を有するセンサの試作 少量の被検液を効率よく測定するため、表面に微小流路を有するセンサ基板を試作した。フォトリソグラフィによってLAPSのセンサ面上にSU-8からなる流路壁面を形成し、導電膜付のガラス板を流路天井として接着した。流路天井部分を導電性にしたことによって、従来よりも均一な電流像を得ることができるようになった。
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