研究課題
本研究では、ダイオキシン毒性の初発段階を担うアリール炭化水素受容体(AhR)の形質転換を抑制する食品を検索し、抑制効果を示した食品を対象に有効性を明らかにすることを目的とした。これまでにある種のフラボン類やフラボノール類に抑制効果が認められたことから、これらフラボノイド類を多く含む緑茶について有効成分の単離と同定を実施し、ルテインとクロロフィルをAhRの新規アンタゴニストとして見出した。また、紅茶やプロポリスも形質転換抑制に有効であることを明らかにした。一方で、フラボノイド類の一種であるアントシアン類は形質転換抑制効果がないことも見出した。また、AhRの形質転換を評価する多検体対応の新規測定法としてサウスウエスタン-ELISAを構築し、それが形質転換抑制効果の評価にも適用できることを示した。この新規評価法を用いて、日本に自生する植物のメタノール抽出物426種を評価したところ、209種がAhR形質転換を50%以下に抑制効果を示すことと、抽出物自体が形質転換を誘導するものはほとんど存在しないことが判った。次に、野菜や果物41種の効果を評価し、モロヘイヤ抽出物がAhRの形質転換に対して最も強い抑制効果を示すことを明らかにした。モロヘイヤ抽出物は、肝細胞であるHepa-1c1c7細胞に作用させた場合、もしくはCaco-2細胞とHepG2細胞とで構築した腸管透過モデルに作用させた場合においても抑制効果を示した。さらに、抽出物をラットに経口投与した場合もAhRの形質転換は完全に抑制された。これらの結果より、緑茶、紅茶、プロポリス、ならびにモロヘイヤはダイオキシン類によるAhRの形質転換を抑制することから、ダイオキシン毒性を軽減できる食品であることが示唆された。
すべて 2004
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